★「耳のそうじは本当に必要なの?」(2020年1月)

☆日本耳鼻咽喉科学会 静岡県地方部会 学校保健委員会(植田洋委員長代表(浜松市))が作成しました動画です。

耳かき綿棒などによる刺激などで炎症を作ってしまったり、耳垢を奥に押し込んでしまいます。動画をご覧ください。

(2020年1月7日公開)

① 耳あか(耳垢)

耳の手入れ(子どももおとなも同じです)

家庭では耳あかを取ろうと無理をしてはいけません。お風呂上がりにタオルで(むしろ太めの綿棒で水分をぬぐうかんじで)そっと耳の入り口をシュルっと軽くふく。これで十分です。
少量の耳あかでは症状が出ることはありません。耳垢栓塞といって耳あかが固くなって詰まったものや耳に水が入って耳あかがふやけたりすると、かゆくなったり、痛みが出たり、聞こえが悪くなります。ときどきのぞいてみて、奥の方が見えないときには耳鼻科での診察をおすすめします。
固い耳あかの場合には、柔らかくする薬をつけて吸い取るような取り方にします。個人差はありますが一度きれいにしておけば、すぐにはそうたまりませんから、月に何回も繰り返して掃除することはありません。
少々の耳あかはあって当たり前、ついているのが普通です。鼓膜が見えている限りにおいて「治療」の必要性はありません。半年に一回くらい耳鼻咽喉科でみて必要があれば掃除をしましょう。ただ、中には耳あかがすぐにたまる人もいます頻度については相談しましょう。

参考資料:小学保険ニュース2020年2月28日発行「耳の掃除は本当に必要なの?」(こちらをクリックでお読みいただけます)

② 外耳道炎(外耳炎)

外耳道の皮膚に細菌が入り込み、炎症を起こす病気です。 耳そうじのし過ぎや、爪で引っ掻くことで外耳に傷をつけてしまい、そこから細菌が感染しやすくなり炎症を引き起こします。
最近目立つのは新型コロナ感染対策でのリモートワーク、オンライン会議、オンライン授業などでイヤホンの長時間装着による外耳道炎です。
外耳道は軟骨部外耳道、骨部外耳道と区分されます。このように表記されるほど外耳道皮膚は非常に薄いのです。そのため痛みが出てくると局所だけではなく、周辺組織まで広がることが多くみられます。顎関節への影響がでることもあり、口を開けたりすると痛みが耳に加えて増してしまいます。

患者さんの訴えは『耳が痛い』『耳が痒い』『耳つまった感じ』『聴こえにくい』単独ではなく、これらの混ざった症状が多くみられます。
まずは痛みや痒みがひどくならないように、耳を触らないこと。炎症が強いと外から見ても皮膚が赤くなり熱っぽくなりますので冷やすこと。
改善傾向がなければ耳鼻咽喉科へ。
耳鼻咽喉科では局所の所見をとり、炎症の広がりを見極めます。滲出液があったり、広がりによって鼓膜炎、中耳炎となることもあります。
つまり、聴こえ方にも影響がでます。
炎症の程度にもよりますが、抗生物質や消炎剤、点耳薬や塗り薬を処方します。治りかけの痒みのコントロールも大切で痒み止めの処方もいたします。

③ 急性中耳炎(子どもは中耳炎に要注意)

鼻がぐずぐずして、せきもでるという「かぜ」症状があって、耳が痛くなれば急性中耳炎の可能性があります。耳だけが悪さすることはほとんどありません。
鼻つまりがひどく長引く場合はとくに注意が必要です。
赤ちゃんでは耳が痛いと言えませんから、機嫌が悪かったり、耳をさわるようだったり、ぐずったり、食欲がなかったり、微熱が続いたりということで中耳炎になっていたことに気がつくことも少なくありません。
治療を始めると2,3日で症状は良くなりますが、中耳炎は完全に治りきっているわけではありません。程度によっては抗生物質や鼻の炎症を抑える薬を指示通りきちんと飲むことが大切です。
痛みはなくなっていても、中耳に分泌物が残った状態が続いている滲出性中耳炎に移行することも多く、完治するのに時間がかかることになります。聞こえとの関連もありきちんとなおしていきましょう。

④ 滲出性中耳炎

中耳に液体(滲出液)がたまっているため聴こえが悪くなる病気です。太鼓の中に水が入って音の伝わりが悪くなっているのと同じ状態です。
急性中耳炎が治りきらず滲出性中耳炎になっていることがあります。また耳の痛みが無くともアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があるために滲出性中耳炎になりやすくなります。のどでは、かぜ、扁桃肥大やアデノイドが原因と考えられることもあります。
聞こえにくいかな?もしくは言葉の発音がおかしいかな?など気になる症状があればご相談ください。

⑤ 耳鳴(耳なり)

耳鳴とは「外に明らかな音源がないのに、音がしていると感じる症状」です。発生機序はいまだ明らかでないことが多いのですが、内耳と脳の関与が示されています。注意しなくてはいけない耳鳴は急性(急にはじまった)耳鳴りです。

突発性難聴、騒音などによる音響外傷については早めに治療をすることにより回復することが多いです。

慢性的な耳鳴は生活習慣病や糖尿病・高血圧など基礎疾患、精神的なことから起きている場合があります。

放置してよいのか、いけないのか。まずは耳鼻咽喉科を受診してください。
耳の中の診察や聴力検査などを行い、加療すべき疾患があればその治療を先行します。

⑥ 難聴

これも耳鳴と関連します。次第次第に聞こえが悪くなる状況ではなく、注意しなくてはならないのが急に、突然はじまる難聴です。内耳が原因の「突発性難聴」は早期に診断・加療が必要となります。

加齢に伴う難聴に関しては、認知症のリスクファクターとも言われ、必要に応じて補聴器など聞こえを補う機器を選択する場合もあります。院長は補聴器相談医です。補聴器相談医が診療情報提供書を認定補聴器技能士に提出することで補聴器購入費用が医療費控除対象になる制度もありますので、お気軽に相談ください。