補聴器について
(加齢性難聴)
聴こえの心配はありませんか?
ご自身、ご家族、日常生活において、聴こえの状況はいかがでしようか?
加齢性難聴について、聴こえは40代後半から衰えはじめ、50代、60代、70代とガタガタと悪くなっていきます。聴力は早めに治療を開始すると回復、もしくは悪化を防ぐことができます。ただし、長年難聴を放置すると回復が難しくなります。補聴器に対して「高齢者がするもの」と抵抗感がある方もいますが、難聴には早めの対応が肝心です。
聴こえは人間の「五感」の一つです。(「五感」とは、「視覚」、「聴覚」、「嗅覚」、「触覚」、「味覚」のことです。)
「聴覚」は現代社会では生活に必要な音声案内から、自然を感じる音も大切ですよね。危険を知らせる音、リラックスさせる音、たくさんの音に囲まれて私たちは過ごしています。この聴こえの低下は生活において強く影響をもたらします。
補聴器の相談はまず補聴器相談医がいる耳鼻咽喉科へ
耳から脳へ伝達する流れがスムーズにいくことで人は「音」として認識します。ひいては「言語」として認識していきます。
この一連の流れができているか、診断するのが耳鼻科医です。
①問診で耳の状況と聞こえの検査をします
- 外耳
- 鼓膜までの通り道はどうかな?垢がたまっていないかな?狭くないかな?
- 中耳
- 中耳炎などはないかな?鼓膜に穴が開いていないだろうか?耳だれはないかな?
- 内耳
- 伝わってきた音がきちんと聴神経に届くかな?
- 脳
- 音として、そして言葉として、認識できているかな?
- 聴力検査
- 右と左、バランスはどうかな?鼓膜は動いて(振動)するかな?
補聴器は、街のメガネ屋さんや家電量販店、通信販売などでも、簡単に購入でき、購入後のアフターケアも宣伝していますね。確かに安価であり、すぐにでも効果を実感したい方には魅力的かもしれません。しかし補聴器の検討で大事なのは、購入前の診断と調整です。耳鼻科ではまず患者さんの聴力を検査し、補聴器が必要な耳であるかを確認します。
②補聴器が必要な聴力の場合、補聴器取扱店と連携します
補聴器が必要な聴力の場合、当院では医師が補聴器相談医の資格をもっており、そこから認定補聴器技能士の在籍する補聴器取扱店と連携していきます。この連携が大切なのです。
医院もしくは補聴器取扱店で「言葉の聞き取りの検査(語音聴力検査)」を実施します。
年齢に伴う難聴で特徴的なのは「音はわかるけれど、何と言っているのかわからない」という訴えです。
神経の弱さによっては音を大きくしても「聞き取り、聞き分け」ができなければ補聴器の適応が難しいです。
まず、3か月の貸し出し試聴をすすめます。
数時間や1週間ぐらいでは効果はわかりませんので、この「3か月貸し出しによる試聴」がとても大切です。
これは、今まで、ご本人が静かな空間で過ごしていたと「脳」が認識しているので、補聴器装用の当初は「うるさくなった」と感じてしまいます。求める聞こえの7割ほどの調整から始まり、3か月ほどかけて、少しずつ「脳」のトレーニングをしていきます。音に「脳」を慣らしていくのです。
「脳」に聴こえという刺激を与えることは認知症予防としても非常に良い効果を認めています。
補聴器購入は保険適応外ですが、 医療機関の補聴器相談医の指示書で、認定補聴器技能士がいる補聴器取扱店で購入すると医療費控除の対象になります。
③ご自身に合ったタイプの補聴器を選びます
補聴器は耳掛け型、耳穴型、ポケット型などさまざまなタイプがあります。目立たないということで耳の中に入れるタイプは人気ですが、メリット、デメリットを知る必要があります。耳穴型は小さいので指先での操作が難しい場合、デメリットとなります。補聴器相談医・認定補聴器技能士と相談のうえ、ご自身に合ったタイプの補聴器を一緒に考えていきましょう。
今では若者のワイヤレスイヤホンのようなスタイルもあり、スマートホンで調整するタイプもあります。これからの若者のほうが補聴器をスムーズに受け入れる時代が来るかもしれません。
補聴器を使った聴こえにより脳を指摘してトレーニングしましょう。
補聴器装用でコミュニケーションをはかることは、自分のためだけでなく家族のためにもなります。
補聴器に関してより詳しくイラストで分かりやすく書かれた資料です。是非ご参照ください。
補聴器小冊子- 済生会宇都宮病院 新田清一先生より許可を得て引用