上咽頭炎について(鼻咽腔炎について)2015/07/23

「上咽頭」とは、鼻の奥、つきあたりの部分のことです。この「のど」(口蓋垂(のどちんこ)の裏側)と「鼻」の間、曲がり角にある「上咽頭」は外から細菌・ウイルス・ホコリなどの影響をうけやすく、たびたび炎症を起こしてしまう箇所です。

いわゆる風邪の引き始めの炎症を生じやすい箇所です。また慢性化しやすい箇所です。

「上咽頭」には咽頭扁桃というリンパ組織「アデノイド」や、中耳と空気圧を調節する「耳管」の開口部があります。

「上咽頭炎」で起こりうる症状として

①鼻がのどに落ちる感じ、からむ感じ(後鼻漏)②鼻やのどの痛み、鼻の奥が焼けるような感じ ③頭の重い感じ 肩こり ④鼻やのどの違和感 ⑤鼻声 ⑥耳のつまる感じ 耳鳴り めまい・・・・

など多様な症状を呈します。

これらの症状に対して約40年以上前に堀口申作 東京医科歯科大学名誉教授が上咽頭炎という疾患概念、そして塩化亜鉛(クロールチンキ)を上咽頭に塗布する治療法を提唱しました。これを「Bスポット療法」といいます。

「Bスポット療法」のBは上咽頭のことを「鼻咽腔(びいんくう)」とも呼ばれるため頭文字をとったようです。当院では「上咽頭処置」とお話しております。

口から鼻の奥に曲がった咽頭用の綿棒をつかっておこないます。

当院では院長の本橋弘行が従来より上咽頭に「マンデル氏液」を塗布、および擦過する治療を行ってきました。塩化亜鉛に匹敵するほど十分に代用できると思っています。この治療法は副院長、西脇宜子も行っております。副院長研修時には上司の先生が行っていました。(余談ですが、その先生は入院中の患者さんにもベットサイドで鼻から綿棒で、のどと鼻の間に塗布していました。)

上咽頭の病変部位を「焼く」ような治療となるため、炎症が強い方の場合、かなりの痛みを訴えます。 時には翌日まで痛みが残ることもあります。それだけ炎症が強いということです。処置を繰り返す必要があるということです。また炎症が強ければ上咽頭から出血もみられますが、上咽頭炎がおさまるにつれて薬を塗った後の痛みや出血は減少していきます。

また最近では発声についても上咽頭炎の関与がみられます。「上咽頭炎による喉頭湿潤障害」による発声障害、音声障害の治療として上咽頭処置は評価されています。

上咽頭炎がすべての症状の原因というわけではありませんが、当院では一つの疾患概念としてとらえて対応していきます。

「上咽頭処置」は古くからの治療法であり、また痛い治療でもあり、なかなか評価の難しい処置であることも正直なところと思います。ただ前述の「症状が改善した」、また「風邪をひきにくくなった」という患者さんがいることも確かです。

文責) 西脇宜子

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